_ あーん、終わっちゃったよーっ! 「無敵看板娘ナパーム」!
_ 気を取り直して… なるほどねぇ。こう来たか。大人の事情を察すると、これはアニメのキャンペーンの一環だったんですかね。
作者様もきっとご苦労されたことでしょうし、一年程度でちょうどよかったのかもしれませんねぇ。前作は17巻で綺麗に終わってましたからねぇ。
_ ではでは、最終巻の所感など簡単に。
_ 1.「さがしてみよう。」
そうか、カンナ嬢はそんなところにいたのね。こちらも個人的に完結(笑)。
2.「立てますよホラ」
甲斐さんが泣くのもよくわかる(笑)。どうでもいいけど、このみちゃんって、若菜ちゃんと背が同じ? もしかして歳も近い? 中学〜高校生くらいに思ってたんだけどなぁ。まてよ? そしたらあの四つ子、いくつやねん? 小5くらいに思ってたんだけど、もっと年下か? 随分聞き分けのいい子達だなぁ。兄姉の教育がいいんだなぁ、きっと。
2.5.「本物」
勘九郎は最後までイイヤツだったなぁ。きっと作者様の意見を一番代弁していたんでしょうね。でも、最後まであの体たらく。一体何がダメだったんだろうねぇ、この人(笑)。
3.「見てるだけ教師」
すんません。「さいなら。」まで気づきませんでした。読み返して、122ページ目の続きが155ページ目という絶妙な配置と吊るされた奇術師にひたすら感動(笑)。
4.「なんだいこの音は?」
お、おかみさん、こんだけ?
5.「なぜそんなことがさわやかに言えるんだ こいつは!!」
アニメから入ってきた人にはくれぐれも言いたい。「証拠がないなら作ればいいのよ!」彼女からこの言葉を取ったら、もう何も残らない。
6.「何? この町」
最後にこんな読者サービスですか。水着どころか、激しいアクションの中あれ程パンチラを避けてきたのに、最後にコレとは…(笑)
7.「お元気で♪」
どなたか教えてください。ヒーローショーのおねーさん(平野さん?)と町内会イベントのおねーさんは同一人物なんですか? 違うんですよね?
_ さて、最期の最後に佐渡川先生からすると大変失礼で腹立たしい内容かもしれませんが、でも個人的には一番正しいと思っている、ナパーム全体の分析をば。
まずは思いつく限りの前作との違いなど。
_ ・「無敵看板娘の続き」という形に見せかけることで、本来導入時に必要なキャラ・状況説明等を思い切って目一杯省略。
その後も、場合によっては旧キャラのみでも話が進められるため、ゆっくりと落ち着いてテッコツ堂メンバーの話が、それこそテッコツ組み始めた頃から、丁寧に組み立てられた。残念ながら店長はチト遅かったですけどね。
・「無敵看板娘」のワクを案外自由に壊していった。
話のフォーマット壊しただけでなく、家庭環境の描写や恋愛話、お涙頂戴モノ等、新キャラはもちろんのこと、旧キャラの新たな魅力まで次々と引き出すことに成功。
・「無敵看板娘」の看板に偽りあり(笑)。
青鮫に何回KOをくらったのやら。最後に最強になった看板娘もソフトボール部に移籍したし。やっぱり最終コマに従って(もしくは原点に戻って)おかみさんのことを指していたのか?
・「無敵看板娘」の旧キャラを出すことにはあまり拘ってなかった?
権藤さんや茅原先生、辻君は1回だけでしたし、最強ボスであるところの「おかみさん」+最終面であるところの「鬼丸飯店の店内」の描画がかなり少なかった。さらに、ついに最終回間際にして、美輝ちゃんの一切出ない話まで出現した。
_ とすると、本作品は、「無敵看板娘」のキャラ・設定をうまく利用して描きたいことを自由に描いていた、つまり、前作を最大限に活かして、「テッコツ堂」の話を立ち上げた、ということではあるまいか!?
実際は、それこそ「大人の事情」に阻まれていろいろ大変だったりするかもしれませんが、何故か制約をかけられることでより人の能力は開花するわけで。表現の自由をいくらか奪われることでかえって素晴らしい作品が生まれたりもするわけで。
というわけで、この作品は単なる&正統な「無敵看板娘の続編」という看板を背負わせることは出来ず、むしろ「テッコツ堂と愉快な仲間たち」、もっと絞ると「伊原カンナの成長物語」と捉えるのが無難な印象かもしれません。
_ でも、この物語は間違いなく「無敵看板娘」でした。「無敵テッコツ娘」でも「無敵青鮫」でも「無敵ビンボー兄弟」でも「無敵お嬢店長」(これありそうだな)でもなかった。「商店街」と「テッコツ堂」のダブルスタンダードでグダグダな話に陥りそうなものなのに、そうもならなかったのです。
_ 何故か!?
_ なぁに、答えは簡単じゃないですか。あくまで「テッコツ堂」が出来たのが「花見町」であり、「伊原カンナ」の憧れが「鬼丸美輝」だったからですよ。
舞台はどこまで行ってもどいつもこいつも何でもかんでも読者の知ってる花見町。そこで、カンナ嬢の成長のキーパーソンとなる美輝ちゃんの、相変わらず誰よりも大暴れする活躍する波乱万丈ぶりを描き続けることで、彼女の居場所と目指す先がより鮮明・確実に読者に訴えかけられるのですから。
カンナ嬢の成長物語の「最重要要素」としての「舞台:花見町」と「主人公:鬼丸美輝」、この二つを絶対に放り出さなかったのが、この作品の一番素晴らしい「バランス感覚」なのです。
(ちょっと前にもありましたなぁ。番組の途中で誰が主人公かよくわからなくなるガンダムなんとかとかいうのが)
_ で、ようやく結論。
_ 「『無敵看板娘ナパーム』は、自作品終了とアニメ化のダブル記念にあわせて、作者様自身の手で公式かつ長期間に渡って展開された、世界で一番豪勢な『無敵看板娘の同人誌』である」
_ 最大の賛辞を称えた、最大限の感謝をあらわした分析結果なんですけど、そうは思われませんかそうですかすみませんね舌足らずで。
でも、(もちろん前作あっての)「無敵看板娘ナパーム」こそ、あらゆる局面に恵まれた、幸せな作品に思えてなりません。
振り返ると無駄にダラダラ続ける必要のない話、1年ちょっとで綺麗に終われる物語だったんですね。なんだか納得です。
最近多いもんなぁ、ダラダラ続けるためにダラダラ続ける話やら、何年あってもちょっとしかなくても綺麗に終われない物語。
_ そんなことはさておき、佐渡川先生、次の作品へ向けて頑張ってくださいませ。ギャグマンガかどうかは知りませんが、また、今の社会に足りない絶妙のバランスを保った作品をお待ちしております。
_ 「いつか覚悟して伺いますぜ、花見町。マジで」