<残暑厳しい折り、ちょっとピントのずれた話> 夏痩せ 「ねえ、ブー子。あんた夏痩せしたんだって?」 「うん! もんの凄く痩せちゃってさ! 5年前のワンピースが、 ほら!」 「ふうん、そうなんだ。で、今何キロ?」 「85キロ!」 あるサラリーマンの噂話 「知ってたか? あの人、ネクタイ一本しか持ってないんだぜ?」 「へえ。二本はあると思ってたんだけどな」 「リバーシブルなんだよ、あれって」 「…?」 ちょっと恐いお話 「ガラガラってドアを開けると、そこには誰もいない…」 「ねえ…」 「で、振り返ったら、さっきまで話してたやつがいなくなってるん だ…」 「やめようよ、そんな話」 「何言ってんだ!? 怪談っていったら合宿のメインイベントだぞ!」 「そうだそうだ!」 「恐いんだったら出てけよ!」 「そんなんじゃないんだ。ただ…」 「ただ…?」 「何だよ?」 「…聞いたことのある話だから」 「嘘つけ! やっぱ恐いんだろ?」 「もう、そんなこと言わずにさ… 枕投げでもしようよ」 「やだ!」 「でも…」 「ああ、うるさいなあ、もう」 「出てけ出てけ!」 「わかったよ、出てくよ。じゃあ…」 「…ったく。本当にしょうがねえやつだなあ」 「あーあ、しらけちまったな。枕投げでもやるか!」 「ところで、あいつ誰? あんなやつうちの部にいたっけ?」 「えっ!?」 ちょっと耳よりな話 「ちょっと奥さん! 耳よりな話なんですけどね」 「あら、何かしら?」 「柴田さんトコの奥さんが耳よりな話を知ってるらしいのよ」 ちょっと恐いお話 2 「この部屋ってさ…  俺達が毎年合宿に来てるんだけどさ…  6年前まではある大学の弓道部の合宿に使われてたらしいんだ…  でさ…  成績不振で思い悩んだ挙げ句、その弓道部の主将がこの部屋で首 をくくったらしいんだぜ…」 「知らなかったよ。恐い話だなあ、それって」 「…だろ?」 「ずっと覗いてるけど…」 「ああ。一人でずっと…」 「…部長、誰に向かって話してるんだ?」 親不孝 「お兄ちゃん、ずるい!」 「お前、そっちがいいって言っただろ? だからこれ、俺のもんじゃ ねーかよ!」 「これ! 喧嘩はやめなさい!!」 「あ、お母さん」 「まったくあんた達はいつもいつも…。で、どうしたの?」 「お兄ちゃんが僕のものをとったんだ!」 「俺のもんだろ! しつこいぞ!」 「いい加減にしなさい!」 「僕が最初に見つけて拾ってきたのに」 「俺にくれるっていったから、お前に選ばせたんじゃねーか!?」 「だけど…」 「拾ったものなの? ちょっと! 高いものなの、それ?」 「うん! とっても!」 「じゃあ、早く警察に届けてきなさい!」 「でも、こんなの絶対受け取ってもらえないよ」 「そーだそーだ!」 「だから、それ何なの!? はっきりおっしゃい!」 「拾った宝くじなんだけど…」 「2枚とも当たったんだけどさ。こいつ、俺の方が金額がいいから 怒ってるんだ。自分で選んだくせに」 「もう、お兄ちゃんなんだから、さっさと譲ってあげなさい!」 「でもさ、こいつ…」 「もう、しょうがないからお兄ちゃんの方にも同じだけあげるから。 で、いくら当たったの? 百円? 千円? まさか、1万円じゃな いでしょうね?」 「一等の1億円!」 「で、こっちが前後賞の1千万円!」 「…」